お金の備え
障害者扶養共済制度(しょうがい共済)とは?親なきあとに子どもへ終身年金を残すしくみ
障害のあるお子さんを扶養する親が掛金を納め、親が亡くなったときなどにお子さんへ終身の年金が支給される「障害者扶養共済制度」の仕組み、加入の条件、大阪市での掛金と窓口、税金の扱いを公的機関の案内に基づいて説明します。
どんな制度か:親に万一のとき、子どもに終身年金
障害者扶養共済制度(愛称:しょうがい共済)は、都道府県・指定都市がそれぞれの条例に基づいて実施している制度で、加入は任意です。障害のある方を扶養している保護者が毎月掛金を納め、保護者が亡くなったとき、または重度障害になったときに、障害のある方へ毎月2万円(2口加入の場合は4万円)の年金が生涯にわたって支給されます。 [1]
独立行政法人福祉医療機構(WAM)は、各都道府県・指定都市が加入者に対して負う共済責任を保険する役割を担っています。また、加入者が他の都道府県・指定都市へ転居した場合も、転居先で手続をすることで加入を続けられると案内されています。 [2]
加入できる人・対象となる障害のある方
厚生労働省の案内の手引きでは、主な加入要件として次の点が示されています。 [1]
- 加入できるのは、障害のある方を現に扶養している保護者で、その都道府県・指定都市に住所があり、加入時の年度の4月1日時点で65歳未満の方
- 特別な疾病や障害がなく、生命保険に加入できる健康状態であること
- 障害のある方1人について、加入できる保護者は1人
- 対象となる障害のある方は、知的障害のある方、身体障害者手帳1級〜3級の方、またはこれらと同程度の永続的な障害があると認められる方で、将来独立して自活することが困難と認められる方(年齢は問わない)
この制度は、障害者手帳や障害年金とは別の制度です。そのため、保護者が「重度障害」になったかどうかの認定も、この制度の基準で別に行われます。 [1]
掛金と、大阪市での申込窓口
掛金は、加入したときの保護者の年齢で決まり、若いうちに加入するほど月額は低くなります。大阪市の案内では、平成20年4月1日以降に加入した方の掛金(1口あたり月額)は、35歳未満の9,300円から、60歳以上65歳未満の23,300円までと示されています。掛金は制度の見直しで改定されることがあるため、加入前に必ず最新額を確認してください。 [3]
大阪市では、生活保護を受けている方や市民税が非課税の方など、掛金の納付が難しい方について掛金の減額を行っています(減額の対象は1口目のみ)。問い合わせや加入の申込は、お住まいの区の保健福祉センターが窓口です。 [3]
弔慰金・脱退一時金と、気をつけたい点
大阪市の案内では、年金の支給が始まる前に障害のある方が亡くなった場合、1年以上加入していれば加入者に弔慰金が支給されます。また、5年以上加入した方が途中で脱退した場合には脱退一時金が支給されます。一方で、掛金を3か月滞納すると脱退となる点にも注意が必要です。 [3]
弔慰金・脱退一時金の金額は加入期間によって異なります。具体的な額は、加入前に窓口で確認してください。
税金の扱い
国税庁の案内では、地方公共団体が条例で実施する心身障害者扶養共済制度に基づく給付金(脱退一時金を除く)には所得税がかかりません。また、この給付金を受ける権利を相続や贈与で取得した場合も、相続税・贈与税はかからないとされています。 [4]
保護者が支払った掛金は、一定の要件を備えた制度であれば、その年に支払った全額を「小規模企業共済等掛金控除」として所得から差し引くことができます。 [5]
具体的な申告方法や、ご家庭の状況に応じた税額の判断は、税務署または税理士にご確認ください。
親なきあとの備えとして考えたいこと
しょうがい共済は、親がいなくなった後もお子さんに一定額の年金が届く仕組みです。ただし、年金だけで生活費のすべてをまかなえるとは限りません。以下は、当事務所からの編集上の提案です。
- 加入には年齢(65歳未満)と健康状態の条件があります。検討するなら、条件を満たしているうちに、お住まいの自治体の窓口で掛金・要件を確認する
- お子さんが受け取る年金を、親なきあと誰がどのように管理・見守るのかを考えておく(成年後見制度や、きょうだい・支援者の関わり方など)
- 共済の年金に加えて、預貯金や自宅などの財産をお子さんのためにどう残すか(遺言・民事信託など)を、あわせて整理する
参考情報・出典
- 厚生労働省「障害者扶養共済制度(しょうがい共済)案内の手引き」(令和6年10月)資料の日付:2024年10月(版表示)。対象地域:全国。参照箇所:制度の概要、年金額、加入要件、対象となる障害のある方、障害者手帳・障害年金との違い。取得・確認日:2026年10月12日。
- 独立行政法人福祉医療機構「しょうがい共済制度のごあんない」資料の日付:不明。対象地域:全国。参照箇所:制度の実施主体、機構による保険、転居時の継続。取得・確認日:2026年10月12日。
- 大阪市「心身障がい者扶養共済制度」資料の日付:不明。対象地域:大阪市。参照箇所:掛金、掛金の減額、弔慰金、脱退一時金、滞納による脱退、申込窓口。取得・確認日:2026年10月12日。
- 国税庁「障害者と税」資料の日付:不明。対象地域:全国。参照箇所:心身障害者扶養共済制度に基づく給付金の非課税、受給権の相続税・贈与税の非課税。取得・確認日:2026年10月12日。
- 国税庁「No.1135 小規模企業共済等掛金控除」資料の日付:不明。対象地域:全国。参照箇所:対象となる掛金(心身障害者扶養共済制度)、控除額。取得・確認日:2026年10月12日。